2007 Fiscal Year Annual Research Report
規範性の成立構造をめぐる「構成主義」的理解と「表現主義」的理解の比較・検討
Project/Area Number |
07J05407
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Research Fellow |
三谷 尚澄 Kwansei Gakuin University, 文学部, 特別研究見(PD)
|
Keywords | ブランダム / セラーズ / マクダウエル / 理由の空間 / 規範性 / 自然主義 / 理由を求め・与えるゲーム / 経験 |
Research Abstract |
研究課題の中心となるロバニト・ブランダムの「推論主義」的な規範性理解の理論について、わが国ではまだあまり知られていないその概略を、研究論文のかたちで発表した。具体的には、ブランダムの主著、『明示化の論理Making It Explicit』および『理由を明晰化するArticulating Reasons』において展開される主要な概念(規範的プラグマティクス、推論主義的意味論、義務論的スコアキーピング、質料的推論、論理学の表現主義的理解、実践的推論の質料的特性、等)について、その内実がいかなるものであるかを明らかにした。 また、同じくブランダムの哲学の中心的概念装置として位置づけられる「理由の空間/理由を求め・与えるゲーム」の構想について、その思想史的源泉であるウィルフリッド・セラーズ、また、現代における最大のライバルであるジョン・マクダウエルが提出する「理由の空間」理解との比較・対照をおこない、ブランダムがセラーズから受け継いだ「推論主義」の構想が「規範性」の一般構造をめぐる論争状況のなかでどのように位置づけられるものであるかを明らかにした。その成果については、近日中にロンドン大学キングス・カレッジの大学出版会から刊行予定の、「リアリズム」を題材とした論文集に掲載の予定である。 その他の研究成果としては、「カント」および「プラグマティズム」という、セラーズ、ブランダム、マクダウエルの哲学に重要な影響を及ぼした思想史的源泉を、現代的な観点から整理しなおしたものを、岩波書店から刊行予定の論文集の一部として発表する予定である。これらの研究成果は、研究課題の遂行に奥行きを与えるものとして位置づけることができる。
|
Research Products
(3 results)