2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05446
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松尾 登史子 Kyushu University, 人文科学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 古代マケドニア / ギリシア / ヘレニズム / ペラ / 墓葬 / 古代都市 / ネクロポリス / ギリシア陶器 |
Research Abstract |
本研究の目的は、古代マケドニア王国の都市、特に王都ペラの成立と発展を捉え、ヘレニズム諸都市の源泉としての特質を解明することである。 平成19年度では、本研究の基礎を築き、また分析に用いる通時的視点かつ演繹的な考古学的手法を確立すべく、現地にて考古資料の選定と基礎資料の収集にあたった。その結果、「都市(ポリス)」を解明するにあたりその影ともいえる「死の都市(ネクロポリス)」の重要性が認識され、墓、特に「マケドニア墓」を対象とした分析に着手することとなった。 平成20年度においては、本格的に墓葬形態の分析を開始し、対象を王都ペラにおける古典期〜ヘレニズム期の墓全般とし、埋葬主体部形態による型式学的分類を行った。その結果、K型式(方形土壙墓型)とTh型式(蒲鉾天井付横穴状室型)を基本とする一定の体系を得た。これを編年へと導くために他の要素との組み合わせによる総合的な分析を行なう必要が生じ、補助分析資料として、墓出土遺物即ち副葬品を用いることとし、中でも広範にかつ最も頻繁に出土する「香油瓶」と呼ばれる陶器を取り上げて分析を行った。この「香油瓶」は数器種に分けられたが、型式分類に足る細別器種を取り上げて型式学的検討を行なった結果、墓分類に適合する様相を示し、墓型式のK→Thという変遷をほぼ検証するに至った。 本研究にて遂行した古代マケドニアの墓埋葬主体部の分類・編年、古代ギリシアの「香油瓶」の分類・編年について、視点の異なる研究方法を採るギリシア古典考古学では研究の前例がなく、全く初めての試みであり、考古学研究史上極めて大きな意義を持つといえる。
|
Research Products
(2 results)