2009 Fiscal Year Annual Research Report
特別な幾何学的構造を持った物質系のデコヒーレンス理論
Project/Area Number |
07J05485
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小杉 範仁 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子情報 / デコヒーレンス / 位相量子ビット / ジョセフソン接合 / 緩和現象 / エネルギー緩和 / 純粋位相緩和 |
Research Abstract |
[背景・目的] 超伝導体で絶縁層を挟んだ接合(ジョセフソン接合)において,その超伝導体間の位相差の振動を利用した量子ビットは,位相量子ビットと呼ばれる.ところで,環境ノイズのために位相量子ビットにおける量子重ね合わせ状態が失われてしまう.この現象は,デコヒーレンスと呼ばれ,量子重ね合わせを用いた量子コンピューティングにおいて,克服すべき現象である. 本年度の研究では,複数個の結合したジョセフソン接合で構成される位相量子ビットを研究の舞台とした.結合のトポロジーが異なる位相量子ビット間でのデコヒーレンス過程の差異について,ミクロな環境モデルから探究した. [方法] はじめに,(i)静電結合した2つのジョセフソン接合を用いて,位相量子ビットを構成し,そのデコヒーレンスの原因となる緩和過程を定式化した.次に,(ii)3つの接合を並列に結合させた位相量子ビットとリング状に結合させた位相量子ビットでの緩和過程を定式化した. [結果・結論] (i)量子ビット状態である0に対応したエネルギー準位のエネルギー緩和を消去する条件を示した.また,環境の温度と無関係に,エネルギー遷移を伴わない緩和である純粋位相緩和が除去できることを示した.(ii)2つの系で緩和過程は異なるが,特徴的な差異を明らかにするためには,今後の研究を要する.
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Research Products
(1 results)