2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代科学の起源と人文主義:ピエール・ガッサンディの人文主義的自然学
Project/Area Number |
07J05508
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 邦暢 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ピエール・ガッサンディ / ユストゥス・リプシウス / ヨハネス・ケプラー / 近代科学 / 近代哲学 / エピクロス主義 / ストア主義 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に書き上げた修士論文で得られた知見をもとに、4月から7月にかけて日本語で「ヘラクレスを継ぐもの:ピエール・ガッサンディによるケプラー受容」という論文を執筆し、『哲学・科学史論叢』に投稿し、採用掲載された。同論文は、天文学史上重要なケプラーの思想が、原子論の復興の担い手であるガッサンディにどのように受容されたかを明らかにすることで、いわゆる科学革命の担い手たちの間で科学、哲学、神学の各分野にわたって思想的な影響関係があったことを明らかにした。本論文をもとに8月から9月にかけて"German Hercules's Heir:Pierre Gassendi's Reception of Keplerian Ideas"という論文を執筆し、Journal of the History of Ideasに投稿しか。同論文は1月付で採用され、翌年出版される第70号にて出版されることが決定した。同雑誌は思想史研究の分野で広く読まれているものであり、掲載決定により国際的なガッサンディ理解の進展に貢献できたものと自負している。論文投稿後10月からはオランダの人文主義者であるユストゥス・リプシウスの自然哲学に関する研究を開始した。同じく古代哲学の復興者であるガッサンディを理解するためには、それ以前に同じようなプロジェクトに取り組んだリプシウスの哲学の理解が欠かせないからである。調査は10月から2月にかけて進められ、結果として"Eclecticism as Seneca's Heritage:Evil and the Cosmic Cycle in Justus Lipsius"という論文を執筆した。同論文はリプシウスのストア派哲学において、古代ローマの哲学者であるセネカの折衷主義が重要な役割を果たしていることを明らかにしたものである。本論文はHiro Hirai,ed.,Justus Lipsius and Natural Philosophy(Brussels:Royal Academy of Belgium,forthcoming)という雑誌への掲載が決定している。
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Research Products
(2 results)