2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代科学の起源と人文主義:ピエール・ガッサンディの人文主義的自然学
Project/Area Number |
07J05508
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 邦暢 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ピエール・ガッサンディ / ユリウス・カエサル・スカリゲル / 近代哲学 / 近代科学 / アリストテレス主義 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、4月から6月にかけてオランダの人文主義者であるユストゥス・リプシウスについての研究を行った。その結果「セネカと折衷主義:ユストゥス・リプシウスにおける悪と宇宙周期」という論文を執筆した。本論文はリプシウスが自然哲学において悪の起源を説明する際に、ローマの哲学者であるセネカの哲学に依拠していることを明らかにしたものである。同論文を6月に日本哲学会の機関誌である『哲学』に投稿し、10月7日に採用、掲載が決定した。2009年に出される同雑誌の60号に掲載される予定である。6月からは、ガッサンディの自然学を理解する上で欠かせないもう一人の人物であるユリウス・カエサル・スカリゲルについての研究を開始した。同人物は16世紀のアリストテレス主義者の中で最も重要な人物の一人であるにもかかわらず、研究が進展しておらず、現在本格的な研究が待たれている。この人物の主著の研究をすすめ、7月にオランダのデン・ボッシュで開催されたサマー・スクールにおいて、"Julius Caesar Scaliger's Theory of the Soul as the Divine Fifth Element"なる発表を行った。本発表はスカリゲルの哲学の最も重要な概念である形相という考えの内実を明らかにし、その後世への影響を考察したものである。その後8月から引き続きスカリゲルの研究を進め、現時点で"Creation, Trinity and prisca theologia in Julius Caesar Scaliger"という論文をほぼ完成させた。本論文は2009年4月に投稿予定である。この研究と並行させて、12月から1月にかけて雑誌『化学史研究』からの依頼により、Nancy,G.Siraisi,History,Medicine,and the Traditions of Renaissance Learningという書籍への書評、及び雑誌Historia Scientiarumからの依頼により、Hiro Hirai,Le concept de semence dans les theories de la matiere a la Renaissance:de Marsile Ficin a Pierre Gassendiへの書評を執筆した。これら二つの書評のうち、前者け日本語、後者は英語で執筆されている。
|
Research Products
(4 results)