2007 Fiscal Year Annual Research Report
4枚カード問題における最適データ選択理論と二重過程理論の統合に向けた実験的研究
Project/Area Number |
07J05529
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
分部 利紘 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 情報量 / 情報理論 / 仮説検証 |
Research Abstract |
仮説を検証する際の人間の判断を説明するモデルに、情報獲得モデルがある。このモデルでは、まず、「人間はShannon-Wienerの情報量がより多い状態をより強く好む」と想定される。そのうえで、「仮説を検証する際、人間はShannon-Wienerの情報量がより多く得られるように行動する(すなわち仮説の真偽に関する不確実性がより減少するように行動する)」と説明する。ここでShannon-Wienerの情報量の性質を考えると、Shannon-Wienerの情報量は仮説検証場面でのみ算出されるものではなく、確率的事象であれば同一の方法で定義・算出される。したがって、仮説を検証する際にはShannon-Wienerの情報量がより多い状態ぼど好まれるのであれば、仮説検証が行われない場面においてもShannon-Wienerの情報量がより多い状態ほど好まれる可能性が考えられる。しかし、これまでの研究では仮説検証場面における判断しか検討されておらず、非仮説検証場面については検討されていない。そこで本研究では、仮説の検証を伴わない場面においても「Shannon-Wienerの情報量がより多い状態ほど強く好まれる」という選好性が成立するか(すなわち惰報獲得モデルは非仮説検証場面にも適用可能なのか)を検討した。その結果、仮説の検証を伴わない場面では「Shannon-Wienerの情報量のより多い状態ほど強く好まれる」という選好性は観察されなかった。この結果は、情報獲得モデルを非仮説検証場面に適用することはできないことを示している。同時に、情報理論的には同一であっても、Shannon-Wienerの情報量に対する人間の選好性は、仮説検証を伴う場面か否かによって変化することも示唆している。
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