2008 Fiscal Year Annual Research Report
4枚カード問題における最適データ選択理論と二重過程理論の統合に向けた実験的研究
Project/Area Number |
07J05529
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
分部 利紘 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 4枚カード問題 / 条件文 / 仮説検証 |
Research Abstract |
科学的な仮説は「もしPであればQである」という形をとることが多い。この種の命題を条件文と言い、条件文のうち、「もしPであれば」を前件、「Qである」を後件という。このような条件文に対する人間の処理過程を調べる際には、「『もし母音が書かれていれば裏には偶数が書かれている』という命題が正しいか否かを検証するためには、[A][K][2][5]のどれを調べるべきか」といった課題(4枚カード問題)が課される。なお、この例では多くの人が[A]と[2]を選択することが知られている。 実験1では、[A][K][2][5]の4つの選択肢を一度に提示する方法ではなく、前件に関する選択肢([A][K])について判断を求めた後、後件に関する選択肢([2][5])について判断を求め、2つの判断を別々に求めた。その結果、前件については従来と同様の反応が観察された(すなわち[A]が多く選択された)が、後件については従来と大きく異なる反応が観察された(すなわち[2]と[5]が同等に選択された)。このように「選択肢を4つ同時に提示するか2つずつ提示するか」という違いは後件にのみ影響したため、先の実験結果は「条件文は前件と後件で処理が異なる」という可能性を示唆している。 この可能性を検証するために実験2では、様々な条件文について真偽を判断させた後、それらの条件文を思い出すように抜き打ちで求めた。もし前件と後件で処理が異なれば、思い出しやすさも異なると予想された。しかし仮説を支持する結果は得られなかった。今後は「条件文は前件と後件で処理が異なる」という可能性をさらに精緻化な実験で検証する必要がある。
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Research Products
(2 results)