2009 Fiscal Year Annual Research Report
4枚カード問題における最適データ選択モデルと二重過程理論の統合に向けた実験的研究
Project/Area Number |
07J05529
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
分部 利紘 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 4枚カード問題 / 条件文 / 情報量 / 確実性効果 |
Research Abstract |
科学的な仮説は「もしPであればQである」という形をとることが多い。この種の命題を条件文と言い、条件文のうち、「もしPであれば」を前件、「Qである」を後件という。このような条件文に対する人間の処理過程を調べる際には、「『もし母音が書かれていれば裏には偶数が書かれている』という命題が正しいか否かを検証するためには、[A][K][2][5]のどれを調べるべきか」といった課題(4枚カード問題)が課される。この例では多くの参加者が[A]と[2]を選択することが知られているが、この選択行動をShannon-Wienerの情報量の観点から説明するモデル(情報獲得モデル)がある。即ちこのモデルでは、多くの回答者が[A]と[2]を選択する理由はこれらの選択肢がShannon-Wienerの情報量を他よりも多く持っているためと説明される。実際に様々な研究から、選択肢の情報量を多くするとその選択肢が多く選ばれるように変化することが観察されている。 ところで情報量は期待値によって算出されるが、意思決定の研究からは"人間は必ずしも利得の期待値が多い選択肢を選ぶわけではない"ということが示されてきた。特に、利得の期待値が小さくとも確実に利益が得うれる選択肢は強く好まれるという傾向(確実性効果)が知られている。 本研究では、情報量の獲得行動においても確実性効果が観察されるかを検証した。片方の選択肢は、情報量の期待値は小さいが確実に情報量が得られるもので、もう片方の選択肢は情報量の期待値は大きいが場合によっては小さい情報量しか得られない選択肢であった。実験の結果、確実に情報量が得られる選択肢が強く選好された。この結果は、情報量の獲得行動においても確実性効果が観察されること、即ち、人間は必ずしも情報量の期待値に従って行動するわけではなく、確実に情報量が得られるか否かも判断材料にされることを強く示唆している。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] Recalling a memory could facilitate recovering irrelevant memories2009
Author(s)
Wakebe, T., Watamura, E., Sato, T., Takano, Y.
Organizer
The 17th Annual Conference Object, Perception, Attention and Memory
Place of Presentation
Massachusetts, USA
Year and Date
2009-11-19
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