2007 Fiscal Year Annual Research Report
消化器臓器由来細胞の初期化と,それを用いた再生医療
Project/Area Number |
07J05573
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青井 貴之 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 人工多能性幹細胞 / 初期化 / 転写因子 / レトロウイルス |
Research Abstract |
iPS細胞はマウスやヒトの体細胞に4つあるいは3つの転写因子を導入することにより樹立される多能性幹細胞であり、胚性幹細胞と同様に、ほぼ無限に増殖すると共に、様々な細胞に分化できる。iPS細胞は同一個体の体細胞から樹立するため、倫理的問題が少なく、移植後の拒絶反応も回避できることなどから、再生医療への応用が期待されるのみならず、創薬、病態解明研究のツールとしても有力である。 しかし、iPS細胞が樹立される機序は不明である。iPS細胞の樹立効率が低いことから、線維芽細胞培養に含まれている特殊な未分化細胞がiPS細胞の由来である可能性が考えられてきた。また、導入因子がレトロウイルスにより染色体上のある特定の位置に挿入されることが必須であるという可能性も考えられてきた。 本研究で申請者らは、成体マウスの肝および胃の細胞に、線維芽細胞と同じく4つあるいは3つの転写因子を導入することにより、iPS細胞を樹立することに成功した。こうして得られたiPS細胞は従来のものと比較して、染色体に挿入された導入遺伝子の数が少なく、その挿入部位に特定の傾向は見られなかった。培養中に含まれる未分化な細胞ではなく、少なくともアルブミンを発現する段階にまで分化した細胞からiPSが誘導されることも確かめられた。 これらの結果から、今後、遺伝子の組み込みを伴わない、より安全な方法によるiPS細胞樹立が可能であることが示唆された。
|