2008 Fiscal Year Annual Research Report
伝統的集落組織による資源管理システムが里山ランドスケープの形成に与えた影響
Project/Area Number |
07J05587
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀内 美緒 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 里山ランドスケープ / 共同 / 集落組織 / 資源管理 / 林業地域 / GIS / 地域性 / 聞き取り調査 |
Research Abstract |
本研究は、持続可能な土地利用のモデルとして注目されている里山ランドスケープ(伝統的な農山村に見られる集落,森林,農地などの空間要素が一体となった集合体)と伝統的な集落組織による資源管理システムとの関係を明らかにすることを目的としている。 本年度は,対象地として取り上げた滋賀県大津市葛川地区(過疎化・林業地帯)を中心に資料収集,地区住民への面接形式での聞き取り調査を行い,伝統的集落組織の概要や管理対象空間等を把握した。収集した地図情報についてはArcGISを用いて整理・解析を行った。 その上で,前年度整理・解析を終えていた八屋戸地区(都市化・農村地帯)との比較を行った。まず,守山地区と葛川地区の明治後期(1890代),昭和初期(1930代),現在(2000代)の土地利用変化と面積変化を分析・比較した。次に,共同管理の資源,利用状況,利用に関する取り決め,管理組織,管理内容を表にまとめた。昭和初期と現在という2つの時代,都市化農村地帯と過疎化林業地帯という2つの里山地域から整理し,比較を行った。その結果,里山ランドスケープ構成要素の中でも共同で利用・管理されてきた自然資源の種類は地域的に違いがみられた。集落の管理システムの変化過程にも大きな違いがみられ,共有林の面積比率が大きく財産区を作って管理してきた守山地区のほうが,針葉樹林化が一気に進んだとがわかった。 今回,聞き取り調査をする中で得られた地域比較のデータは,これからの里山ランドスケープの管理に大きな示唆を与えてくれると考えられた。そこで,一般にも分かりやすく成果をまとめた広報用冊子を作成し,地域への研究成果の還元を行った。
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Research Products
(4 results)