2007 Fiscal Year Annual Research Report
ベルナルド・ベロット及び18世紀景観画における絵画的源泉についての研究
Project/Area Number |
07J05588
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金沢 文緒 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ベルナルド・ベロット / 景観画 / イタリア:ドイツ:オーストリア:ポーランド / 18世紀 / 美術アカデミー / 複製版画 |
Research Abstract |
2007年12月22日にイタリア言語、文化研究会第98回例会において、「英国風景画家リチャード、ウィルソンのイタリア滞在〜《アポロと四季》をめぐって〜」という研究発表を行った。この発表では、18世綻中盤にローマ滞在した外国人風景画家であるウィルソンが生涯にわたって繰り返し描いた主題「アポロと四季」に注目し、彼の制作契機をローマ滞在にあったことを結論づけた。当時、ウィルソンのような外匡人風景画家に限らず、ベロットを含む多数のイタリア人風景画家が芸術都市ローマに集結した。ウィルソン作品の絵画的源泉はすなわち、同時代ローマに集まった風景画家たちに共有されていたものである。この研究発表を通して、当時ローマで一般公開となった美術館、邸宅のコレクション等の中でも、ニコラ、プッサン、クロード・ロランといった17世紀の古典主義の絵画作品の影響が強かったことが分かった。 さらに、本研究がベロット周辺の画家の芸術交流を繋ぐ存在として注目する18世紀ヴェネツィア風景画家フランチェスコ・ズッカレッリについてのカタログ・レゾネ、Federica Spadotto,Francesco Zuccarelliが最近イタリアで出版されたが、近日刊行となる『日本18世紀学会年報』第23号に、報告者による書評が掲載される予定である。この書評において、近年の18世紀イタリア風景画研究において看過されてきたズッカレッリの歴史的意義を定義した。 また、18世紀ヴェネツィアの芸術活動を支える主要なパトロンであったフランチェスコ、アルガロッティと彼の芸術理論書『絵画論』の研究を進めているが、これと関連して、アルガロッティが参照し彼の芸術理論の多くを負った17世紀初頭の芸術理論書であるジュリオ・マンチー二著『絵画に関する諸考察』の分析を行い、その一部の翻訳が成果として『美術史論叢』第24号に掲載された。
|
Research Products
(3 results)