2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内でのタンデム有機反応によるタンパク質のバイオセンサーへの機能化
Project/Area Number |
07J05621
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高岡 洋輔 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | タンパク質 / 生物有機化学 / 赤血球 / アフィニティーラベル化 / 炭酸脱水酵素 / バイオセンサー / 19F-NMR / 蛍光ラベル |
Research Abstract |
申請者はタンパク質のバイオセンサー化を、細胞内でそのまま構築する手法を考案し、より詳細なタンパク質の機能解明の実現を目的として研究を行ってきた。その結果、細胞内在性の標的タンパク質に特異的な化学修飾法の開発に成功した。 細胞内で標的タンパク質特異的に化学修飾する方法として、タンパク質のリガンド認識を利用したアフィニティーラベル化が知られている。しかし、この方法はラベル化後にリガンドが共有結合的に残存するため、タンパク質は失活状態にある。そこで昨年度、ラベル化後にタンデムにリガンドが切り出される方法を考案し、検討を行ってきた。しかし、始めのラベル化段階に用いたアジリジン基の反応性に難があり、標的タンパク質への部位特異的な修飾は認められなかった。そこで新たな戦略として、反応基にスルホン酸エステルを用い、ラベル化においてSN2求核置換反応を用いることで、ラベル化後にリガンドが切り離される手法を開発した。本手法を赤血球に内在する炭酸脱水酵素(hCA)に適用した結果、hCAにのみ部位特異的に蛍光ラベルすることに成功した。 さらに、赤血球細胞中でのhCAのバイオセンサー化を検討した。赤血球中には大量のヘモグロビンが存在するため、細胞そのままでは励起光が吸収され、蛍光化は意味をなさない。そこで、近年in vivoイメージングにおいて注目を集めている19F-NMRプローブを導入することにした。その結果、細胞内で部位特異的に19F-ラベルしたhCAは、そのままhCAの阻害剤バイオセンサーとして機能することを確認した。試験管内でさえ、19F-ラベル化を化学修飾で部位特異的に行うという前例がないことから、本研究は非常に意義深いものであると考えられ、近日中に学会誌に投稿予定である。
|
Research Products
(4 results)