2009 Fiscal Year Annual Research Report
ビスマス-遷移金属系層状酸化物の系統的解明に基づく低温動作高効率酸素ポンプの実現
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07J05650
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷ノ内 勇樹 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Bi_2VO_<5.5> / 酸化物イオン伝導 / 酸素ポンプ / 層状ペロブスカイト / ドーピング / 相変態 |
Research Abstract |
Bi_2VO_<5.5>は、複雑な多形を有し、その高温相は高い酸化物イオン伝導を示す。本研究では、5価のバナジウムサイトに各種元素を系統的にドープし、酸化物イオン伝導性および相変態挙動への影響を、熱分解に対する時間的安定性を考慮して理解することと、得られた知見に基づいてより高性能な酸化物を実現することを目的としている。 ・新たな相分類の確立:本系で観察されたα,β,γ相に代表される種々の多形体について、系統的な理解と整理をより簡便に行うため、新たな相分類法を検討した。結果、V-O層の酸素空孔の規則-不規則配列に特徴的な超格子回折ピークと酸化物イオン伝導度の挙動に基づき、α_f,β_f,γ_fという3つのグループに種々の多形体が分類できることを示した。 ・高伝導相γ_fの安定化機構:他の多形体に対し、γ_fを安定化するには、酸素空孔濃度やドーパント濃度の増大が効果的であった。これは、酸素空孔の存在によりα_f,β_f構造が不安定化されるため、および格子欠陥の存在がγ_fの配位エントロピーを増大することや規則化速度の低下につながるためとして定性的に理解することができた。一方、熱分解に対し、γ_fを安定化するには酸素との結合力が強く、イオン半径がV^<5+>に近いドーパントが有利であった。これは、熱分解に必要とされるドーパントの拡散の抑制と、ドーパント周りの格子歪が小さいためとして定性的に理解することができた。 ・BIMEVOXへの複合ドーピング:α_f,β_fに対するγ_fの安定化に最も有効な1価金属(Li^+,Ag^+)と、顕著な熱分解抑制効果を示すTi^<4+>を複合ドープした試料を作製し、γ_fが室温まで凍結され、500℃で0.1S/cmという極めて高い酸化物イオン伝導度が示されることを見出した。また、Ti濃度の増大に伴い、γ_fの時間的な安定性が大きく向上することを明らかとした。
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Research Products
(3 results)