2007 Fiscal Year Annual Research Report
層状ペロブスカイト関連酸化物における不定比性・混合導電機構の解明
Project/Area Number |
07J05669
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 崇司 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 導電性セラミックス / 混合導電体 / 酸素不定比性 |
Research Abstract |
本年度は試料合成法の確立、La_<2-x>Sr_xNi0_<4+δ>における酸素不定比性の評価および不定比性発現モデルの構築を行い、その成果を学会発表した(3件)。また本材料の応用技術の一つとして考えられている燃料電池について国際学会で2件発表し、その結果をまとめた論文を2本投稿した。このうち1本は査読の後受理され、もう1本は現在査読中である。 熱天秤法およびクーロン滴定法によってLa_<2-x>Sr_xNi0_<4+δ>の不定比性の測定を行った。La_<2-x>Sr_xNi0_<4+δ>の酸素不定比性はSr量、温度、酸素分圧に強く依存し、条件によって酸素過剰、酸素欠損を示すことがわかった。また得られた酸素不定比性から酸素の部分モルエントロピーを計算した。これにより、酸素欠損域においては理想溶液適に振る舞い、酸素過剰域において系は理想溶液からずれていくことがわかった。La_<2-x>Sr_xNi0_<4+δ>は過剰酸素量が増加するほど、理想溶液的な状態に比べて酸素が入りにくくなる傾向を示した。以上の結果は第33回固体イオニクス討論会、第16回SOFC研究発表会にて発表済みである。 La_<2-x>Sr_xNi0_<4+δ>の酸素不定性発現に対する定量的な物性モデルを構築するため、欠陥化学に基づいた解析を行った。提案したモデルは酸素過剰、酸素過剰から酸素欠損への遷移、酸素欠損など、測定された酸素不定比性を非常によく説明することができた。また、フィッティングに使用したパラメーターのSr量依存性および温度依存性を考えることで、ある組成、条件(温度や周囲の雰囲気)における酸素不定比量を定量的に見積もることが可能になった。このように今回提案した欠陥平衡モデルは、材料設計や最適な運転条件を考える上で有効な指標のひとつであるといえる。以上の結果は第75回電気化学会で発表済みである。また現在、解析結果をまとめた論文の草案を作成中である。
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Research Products
(6 results)