Research Abstract |
報告者は,Hsp47ノックアウト細胞において見出したコラーゲンが,未成熟な状態であることに着目をし,コラーゲンの分解についての研究に着手した.まず始めに,Hsp47 KO細胞では,コラーゲンが小胞体内で,ミスフォールドし凝集体を形成することを,western blottingやFRAP法を用いて明らかに,コラーゲンがミスフォールドした状態にあることを直接的に示すことが出来た.そこで,この細胞をモデルとし,コラーゲンの分解を調べることにした.細胞内における蛋白質の分解には,プロテアソーム経路とリソソーム経路が知られているため,これらの阻害剤を用いて,コラーゲンがプロテアソーム経路ではなく,リソソーム経路で分解されていることを示唆するデータを得た.更に,このコラーゲンの分解は,リソソーム経路において,特にオートファジーを介したものであることを,マーカー蛋白質であるLC3の活性化から見出した.このことは,オートファジー形成に必須の関連因子である.ATG5をRNAiによりノックダウンした時に,コラーゲンの分解が抑制されることからも,支持される結果であると考える.コラーゲンは,細胞内で合成される蛋白質の30%を占める哺乳動物の生存に必須のマトリックス蛋白質である.コラーゲンは骨形成に深く関与していることが分かっており,コラーゲン遺伝子の変異によって,骨形成に異常が生じる骨形成不全症(osteogenesis imperfecta)が知られている.そうした変異を持つコラーゲンは,細胞内で分解されていることが想定されていたが,実際どのような経路で分解を受けているのかについては,全く分かっていなかった.そこで,我々はこうしたコラーゲンがリソソーム/オートファジー経路により分解をうけているのではないかと考え,解析を進めた.コラーゲンの三重らせん領域に変異をもつコラーゲンをもつ細胞株を利用し,そのコラーゲンの分解を調べると,予想通りオートファジーによる分解を受けていることが分かった. 以上の結果から,細胞内でミスフォールドしたコラーゲンは,オートファジーにより分解を受けていることを見出した.これらの結果をまとめ,近日中に投稿する予定である.
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