2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05674
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上村 稔 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ペンタメチルシクロペンタジエン / 炭素-炭素結合開裂 / 保護基 / 交差カップリング反応 / ニッケル触媒 / パラジウム触媒 / フェニル化 / アルキニル化 |
Research Abstract |
ペンタメチルシクロペンタジエン(C5Me5H,Cp*H)は、錯体化学研究における六電子供与配位子の前駆体として盛んに用いられている。しかしながらそれ自身を有機合成の反応剤として用いた例がほとんどないことに着目した。そこで、Cp*Hを反応剤として利用することを検討し、Cp*Hの新たな価値を見いだすことができた。 リチウムペンタメチルシクロペンタジエニド(Cp*Li)がアルデヒドに付加し、対応するアルコールを与えることを明らかにした。またこのアルコールは、熱や酸あるいは触媒量のDDQを作用させることで元のアルデヒドとペンタメチルシクロペンタジエン(Cp*H)へ変換できることを見いだした。併せて、本反応系を用いたアルデヒドの新しい保護基としての利用に成功した。 Cp*Liが塩化ジエチルアルミニウム存在下α,β-不飽和エステルへ1,4-付加することを明らかにした。またこの1,4-付加体のα位のアシル化、続くCp*基の脱離反応を利用した、ジカルボニル化合物の立体選択的合成に成功した。 酸塩化物とCp*Liから容易に調製できるCp*ケトン(RCOCp*)に対してアリル基を導入した後に、熱や酸によってCp*基を取り除くことで、β,γ-不飽和ケトンを合成することに成功した。 Cp*基を有するホスフィン配位子Cp*CH2PPh2を合成し、塩化ニッケル触媒存在下にこの配位子を用いることで、第一級臭化アルキルまたは第一級ヨウ化アルキルとアリールグリニャール反応剤との交差カップリング反応が効率よく進行することを明らかにした。 パラジウム触媒存在下Cp*Liを塩基として用いた、ハロゲン化アリールと末端アセチレンとの交差カップリング反応に成功した。
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