2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05709
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 健太郎 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GDSL / クチナーゼ / 花粉 / クチクラ |
Research Abstract |
本研究においてシロイヌナズナの地上部液胞に最も多く存在するとして発見されたSIOタンパク質のホモログの機能についても解析するために,SIOと同じGDSL-lipase/esterase familyに属するAt4g30140を過剰発現する形質転換シロイヌナズナ35S::At4g30140を作製した.35S::At4g30140では地上部で器官接着の表現型が見られた.また,35S::At4g30140のクチクラの機能をトルイジンブルー法で解析したところ,35S::At4g30140の葉は色素を容易に透過した.これらの結果から,At4g30140が植物の防護壁であるクチクラの機能に影響を与えるタンパク質であると考えられたため,At4g30140をCDEF1(Cuticle Destructing Factor1)と命名し,機能をさらに詳しく解析した.CDEF1の異所発現が植物のクチクラに与える影響を解析するために電子顕微鏡観察を行った.CDEF1を異所発現する形質転換体ではクチクラが欠損した部位や裂けた部位が観察された.この結果はCDEF1がクチクラの構造に影響を与えることを示している.CDEF1の植物体における発現パターンを解析するためにCDEF1promoter::GUS形質転換体およびCDEF1promoter::SP-GFP-CDEF1形質転換体を作製した.各々の形質転換体においてGUS活性染色および共焦点レーザー顕微鏡観察を行った結果,CDEF1は花粉,葯,側根の出現部位において発現することが明らかになった.CDEF1の細胞内局在を明らかにするために35S::SP-GFP-CDEF1形質転換体を作製し,共焦点レーザー顕微鏡で観察した.GFP蛍光は細胞外で観察された.リコンビナントCDEF1タンパク質を作製して酵素活性を解析したところ,中性からアルカリ性のpHで安定してエステラーゼ活性を発揮することが明らかとなった.花粉での発現に加えて,細胞外へと分泌されることおよびエステラーゼ活性を示すことはCDEF1,がクチナーゼとして機能する可能性を強く示唆する結果である.植物由来のクチナーゼはこれまで遺伝子の単離同定がなされていない.CDEF1は未同定の植物由来クチナーゼの分子実体ではないかと考えられる.CDEF1は側根の出現部位で発現するが,これは植物のクチナーゼがこれまでに考えられてきたよりも多様な機能を持つことを示唆する結果である.
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Research Products
(1 results)