2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ狭窄電子系におけるスピンダイナミックスとマイクロ波発信に関する研究
Project/Area Number |
07J05710
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 広明 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Nano-Oxide-Layer / スピントランスファートルク / マイクロ波発振 / Domain wall magneto-resistance / ナノコンタクト / スピンバルブ |
Research Abstract |
磁性積層膜中にNOL(Nano-Oxide-Layer)を挿入した積層薄膜素子の作製を行った。この磁性積層膜において、NOLは二つの強磁性層の間に挿入されることにより、酸化物絶縁層中に強磁性のナノコンタクトを形成し、強磁性層の磁化状態を反平行にすることでナノコンタクト中に磁壁が狭窄され、磁気抵抗効果を発言することが示唆されている。この素子のことをナノ狭窄磁壁型素子と呼ぶ。 また、ナノ狭窄磁壁型素子のLCR発振特性を、直流電流バイアス及び直流磁場下において測定した。この結果、狭窄磁壁に起因すると考えられるマイクロ波の発振が観測された。積層薄膜の磁化状態とマイクロ波発振特性を比較することで、ナノコンタクト中の磁壁の状態によりマイクロ波の出力・周波数が変化することが示唆された。この結果を元に、ナノ狭窄磁壁素子におけるマイクロ波発振機構のモデルを立てた。また、そのマイクロ波出力はMgO障壁層を用いたトンネル磁気抵抗素子と同等のものが得られた(〜20nVHz^<-1/2>、〜10pW)。これは複数の発振モードの位相が同期した結果得られたものであると考えられる。 トンネル磁気抵抗素子は50〜100%の高いMR変化率を示すのに対し、ナノ狭窄磁壁型素子のMRは現状5〜10%という低い値である。磁性積層薄膜素子におけるマイクロ波発振はMR変化率の2乗に比例することから、MR変化率を〜100%にまで上昇させることにより、ナノ狭窄磁壁型素子のマイクロ波出力を更に上昇させることが可能であることを見出した。
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Research Products
(2 results)