2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ狭窄電子系におけるスピンダイナミックスとマイクロ波発信に関する研究
Project/Area Number |
07J05710
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 広明 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Nano-Oxide-Layer / スピントランスファートルク / マイクロ波発振 / Nanocontact Magneto-resistance / ナノコンタクト / スピンバルブ |
Research Abstract |
本研究の目的は,積層磁性膜素子中に複数のナノメーターオーダーの導電チャネルを有する極薄の絶縁体層(NOL:Nano-Oxide-Layer)を挿入し,電流狭窄や狭窄磁壁などの狭窄効果を用いることにより,高出力でかつ周波数の調律が可能な低消費電力型の新規なマイクロ波発信デバイスの開発を行うことにある. 2008年度は強磁性ナノコンタクト磁気抵抗(NCMR)素子のマイクロ波発振特性を、直流電流バイアス及び直流磁場下において測定した。ここで、NCMR素子とは、強磁性ナノコンタクトを有するNOLが挿入されたスピンバルブ素子であり、2つの強磁性層の磁化を反平行にすることでナノコンタクト中に磁壁が狭窄され、磁気抵抗が発現することが示唆されている。このNCMR素子のマイクロ波発振特性と、抵抗-磁場曲線から推察される素子の磁化状態を比較することにより、NCMR素子においては2つの強磁性層の磁化が磁場及び電流により不安定になる際に発振が起こることが示唆され、概ね4つの発振モードが存在するという知見が得られた。 また、NCMR素子において最大〜0.2nWのマイクロ波出力が得られた。この出力はマイクロ波発振器としての実用が可能な〜1μWには到達していない。しかしながら、NCMR素子のMR変化率は現状5〜10%と低い値であり、マイクロ波発振出力はMR変化率の2乗に比例することが理論提唱されていることから、MR変化率を向上させれば実用可能な出力に近づくことが可能であると考えられる。
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Research Products
(5 results)