2008 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡せん断乱流における速度・圧力相関に関する実験的研究
Project/Area Number |
07J05711
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中 吉嗣 Keio University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非平衡せん断乱流 / 変動圧力 / 測定技術 |
Research Abstract |
本研究の目的は、非平衡せん断乱流のエネルギーバランスにおける変動圧力の寄与を実験的に解明することである。本研究では3次元大規模渦構造を含む乱流のテストケースとして翼端渦流れに着目した。翼端渦流れには旋回に伴う強い速度・圧力勾配が発生し、その非定常な揺らぎによって速度・圧力変動が引き起こされることから、乱流のエネルギーバランスにおける大規模渦構造の寄与を調査するのに適している。速度・圧力相関の寄与を解明するためには、流れの任意の位置で変動速度・圧力の同時測定を行う必要がある。従来、その正確な測定は技術的に困難であるとされていたが、本研究では小型静圧プローブもしくは全圧プローブをX型熱線流速計と組み合わせた手法を用い、これらを初めて3次元複雑乱流場に適用した。基礎的な流れでの測定手法の検証を踏まえ、翼端渦における変動速度・圧力の同時測定を行った。翼端渦の発達過程における速度3成分の同時測定結果から、翼端渦の非定常な揺らぎが定量的に示された。翼端渦における速度変動は、翼端渦断面方向の2成分の変動が翼端渦軸方向の乱れよりも10倍程度大きいことを示した。変動静圧分布に関しては、下流領域で2つのピークを示した。これらの統計的な分布の特徴は翼端渦の揺らぎによって説明されることがわかった。さらに、変動速度・圧力の同時測定結果から、速度・圧力相関と乱流エネルギーの圧力拡散項を評価した。翼端渦流れにおいては、乱流拡散項と圧力拡散項は単純な比例関係として対応していないことが実験的に示された。本研究において、静圧プローブ・全圧プローブを用いることで、自由せん断乱流中の変動速度・圧力の同時測定が可能となることを示した。基本的なせん断乱流と3次元複雑乱流のどちらの場合にも速度・圧力相関の分布は乱流の大規模渦構造と強く関連していることが確認された。
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Research Products
(6 results)