2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05746
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高 有里 (雨宮 有里) The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 自伝的記憶 / 意図的想起 / 無意図的想起 / 検索過程 / 特定性 / 感覚手がかり |
Research Abstract |
自己が過去に経験した出来事の記憶を自伝的記憶という。この自伝的記憶には意図的想起(例:夏休みに何をしていたかと友人に問われ,該当する出来事を想起する)と無意図的想起(例:昔よく聴いていた音楽を耳にし,当時の出来事がふと思い出される)の2つの想起形態がある。先行研究では,意図的に想起される出来事と無意図的に想起される出来事は別に保存されており,検索過程が異なると考えられてきた。しかし,先行研究は無意図的想起の実験手続きに問題があったため,この説明は正しくない可能性がある。従って,本研究では自伝的記憶がどのように保持されているか,また,どのように検索されるかを明らかにすることを目的とした。実験1では,無意図的想起の新しい実験手続きを考案し,これを用いて意図的および無意図的に想起される出来事の性質を比較した。その結果,意図的想起のほうが無意図的想起よりも特定性の高い出来事を想起した。また,実験2では,音楽のように感覚的で特定性の高い想起手がかりを用いて検討を行った。その結果,意図的想起・無意図的想起ともに「ある日・ある時」の出来事,すなわち,特定性の高い出来事が想起された。以上の結果は,意図的に想起される出来事と無意図的に想起される出来事は同じ場所に保持されており,意図的想起と無意図的想起の検索過程の違いは、能動的な検索を行うか否かであることを示唆するものであるといえる。
|
Research Products
(3 results)