2007 Fiscal Year Annual Research Report
レニウム触媒によるC-H結合活性化を基盤とする環状化合物合成反応の開発
Project/Area Number |
07J05758
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川田 篤志 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | レニウム / 活性メチレン化合物 / アセチレン / 炭素-炭素結合切断 / 環拡大 / 炭素鎖伸長 / インジウム / エステル |
Research Abstract |
申請者らはこれまで、レニウム触媒を用いるC-H結合活性化を基盤とする合成反応の開発を行なってきた。その結果として、活性メチレン化合物の不活性アセチレンへの付加反応をすでに報告しているが、その検討過程において、配位子として触媒量のイソシアニドを添加すると、6員環β-ケトエステルの炭素-炭素単結合にアセチレンが挿入して環拡大反応が進行することを見いだした。歪みのない炭素-炭素結合が切断されアセチレンが挿入することは、3員環や4員環化合物などの歪みエネルギーを利用していた従来の反応とは大きく異なっている。また、炭素-炭素結合の切断を利用すれば、有機化合物の炭素骨格を直接変換することができることから、従来の合成ルートを大きく変える可能性がある。そのため、より一般性の高い炭素-炭素結合切断反応の開発は、有機合成において重要であると考えられる。そこで、レニウム触媒による環拡大反応について、さらに詳細に検討を行なった。 その結果、鎖状のβ-ケトエステルを用いた場合にも同様の反応が進行し、2炭素分炭素鎖伸長したδ-ケトエステル誘導体が得られることがわかった。また、末端アセチレン部位を有する鎖状のβ-ケトエステルを用いて分子内で反応を行なうことにより、環状化合物を合成することも可能である。 アセチレンの挿入反応以外にも、レニウム触媒存在下で1,3-ジケトンとアルコールとを反応させると、炭素-炭素結合の切断によりエステル化合物が得られる逆Claisen縮合反応が進行することがわかった。他のLewis酸触媒についても検討したところ、インジウム触媒が最も効果的であった。この反応は、これまでにないエステルの合成法である。また、アルコールの代わりに求核剤として水やアミンを用いることで、カルボン酸やアミド化合物を合成することも可能である。
|