2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己制御における意識と非意識:意志の力と習慣を生かした制御法の提案
Project/Area Number |
07J05765
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
及川 昌典 Toyo University, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 健康 / 顕在指標 / 潜在指標 / 自動性 / プライミング / 国際情報交換 / アメリカ / オランダ |
Research Abstract |
本研究は、1)自己制御の各段階における意識的・非意識的過程の役割を明らかにする、2)潜在指標を用いた測定を行い、自動性に基づく効果的な制御法を提案する、3)自己制御に関して異なる文化圏(日本,アメリカ,オランダ)での比較を行うという3つの目的のもとに行われた。 年度前半には、自己制御に伴う自由意志感覚に関して、西洋と東洋の文化差を検討するために、オランダと日本においてプライミングパラダイムを用いた実験室実験が実施された。日本人大学生80名、オランダ人大学生74名の協力をもとに、自己決定に関する文化的信念と行為結果のプライミングが自由意志感覚の生起に及ぼす効果が検討された。この成果は文化比較研究のリーディングペーパーであるJournal of Cross Cultural Psychologyに掲載が決定している(Aarts,H.,Oikawa,M.,&Oikawa,H.,(in press).Cultural and universal routes to authorship ascription:Effects of outcome priming on experienced self-agency in the Netherlands and Japan.Journal of Cross Cultural Psychology)。 年度後半には、感情制御に関する2つの実験を行った。感情価を伴う刺激との接触は、それを無視するように教示しても自動的に感情を活性化させ、後の判断を不可避的に歪める。本研究では、このような意識的な統制が困難とされる影響であっても、帰属推論を通じて自動的に解除できることが示された。オランダ人大学生86名を対象とした実験1では、感情をプライムに帰属することで誤帰属(プライミング効果)が自動的に制止されることが明らかとなった。オランダ人大学生83名を対象とした実験2では、本来ならば誤帰属が生じるはずのない感情であっても、自動的な帰属を阻害するとプライミング効果が生じることが明らかとなった。これらの成果は投稿され、現在審査中である。
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Research Products
(11 results)