2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己制御における意識と非意識:意志の力と習慣を生かした制御法の提案
Project/Area Number |
07J05765
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
及川 昌典 Toyo University, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自己制御 / 自動性 / 統制性 / プライミング / コントロール / オランダ / 文化比較 / 潜在指標 |
Research Abstract |
本研究は、自己制御の各段階における意識的・非意識的過程の役割を明らかにし、自己制御に関して異なる文化圏(日本、アメリカ、オランダ)での比較を行う目的のもとに行われた。最終年度である本年度においては、主に以下3つのプロジェクトが進められた。1)自己制御に伴うエージェンシー感覚について、西洋文化圏と東洋文化圏に見られる差異の源泉を検討するために、オランダと日本において、プライミングパラダイムを用いた実験室実験が実施された。自己決定に関する文化的信念と、行為結果のプライミングの2つ要因がエージェンシー感覚に及ぼす影響が検討され、その結果、エージェンシー感覚が生じる経路には、文化的に規定される内省的な経路と、文化を問わず普遍的に観察される非意識的なオーサーシップ推論による経路との2つが互いに独立して存在することが示唆された。2)潜在指標(感情誤帰属手続き:AMP)の原理を検討するために実験室実験が行われた。感情価を伴う刺激と接触すると、それを無視するように教示されていても、関連した感情が自動的に活性化し、後の判断を歪める感情プライミング効果が生じる。本研究では、このような意識的な統制が困難とされる影響であっても、帰属推論の操作を通じて、自動的に解除できることが示唆された。3)これまでの研究成果をまとめ、学術論として発表する作業が行われた。自己制御における意識と無意識に関するこれまでの研究の概観、並びにこれらの現象を検討した3年間の研究データは、再度分析を経て6つの査読付き論文として発表された。また、予防的制御が求められる社会事象(新型インフルエンザ)を対象として、セルフサービングバイアスに関するデータが収集された。新型インフルエンザの流行に伴う、認知、感情、行動の変化に関する結果は、査読付き論文として発表された。
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Research Products
(15 results)