2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経長期可塑性における、シナプス-核 シグナリングの分子基盤の解明
Project/Area Number |
07J05769
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野中 美応 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 長期可塑性 / 遺伝子発現 / 核内移行 |
Research Abstract |
CREBは脳における長期記憶に必要な遺伝子発現を担う転写因子である。CREBの作用には、シナプス形成時においては二面性があり、幼弱期ではシナプス活性亢進に働き、成体脳ではむしろシナプス形成を抑制する方向へ働く(Nonaka, J.Neurosi. 2009)。しかし記憶学習に関しては、これまで記憶亢進作用についてしか報告されておらず、その作用の全貌については明らかとなっていない。 本研究の目的は、CREBの強力なコアクチベータであるCRTC1の制御遺伝子を同定し、記憶学習への寄与を明らかにすることである。1,2年度に条件検討済みのノックダウン・恒常活性型変異体のベクターを用い、立ち上げた実験系に基づいて、3年目の研究計画を実行した。 すなわち、神経細胞におけるCREB依存的な最初期遺伝子群へのCRTC1の寄与ををin vitroならびにin vivoで調べた。具体的には、クロマチン免疫沈降実験により、CRTC1の最初期遺伝子プロモーターへの結合を確認し、代表的な最初期遺伝子のプロモーターを用いたレポーターアッセイにより、CRTC1がこれらの発現をCRE配列依存的に亢進する作用があることを見出した。特に、CRTC1が、ArcプロモーターのSARE配列のCREに結合し作用することを証明した。 さらに、CRTC1を搭載したレンチウイルスベクターをマウス個体の脳に注入して発現させる実験系を確立した。その上で、その表現型の探索を開始し、記憶行動への寄与を現在共同研究で進めている。
|
Research Products
(9 results)