2007 Fiscal Year Annual Research Report
移動性細胞のアクチン細胞骨格構造による駆動機構に及ぼす力学的因子の影響
Project/Area Number |
07J05770
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
オケヨ K.O. Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞運動 / ケラトサイト / アクチン骨格構造 / 力学的因子 / 生化学的因子 / 脱重合 / マイクロパターニング / カルシウム応答 |
Research Abstract |
本研究では,細胞運動の駆動機構であるアクチン骨格構造内における力学的因子の役割,および力学的因子・生化学的因子の相互作用を介した細胞運動の制御メカニズムの解明を目的とし,申請書の「年次計画」に記載の通り,本年度は,「アクチン骨格構造の動的安定性への張力の影響」について実験的検討を行った.まず,蛍光スペックル顕微鏡法および粒子画像流速測定法により,移動性ケラトサイトおよびフラグメントの運動時におけるアクチン骨格構造ダイナミクスの定量的評価を実施した.その結果,アクチン骨格構造内において,運動方向に平行な方向に負のひずみが存在することが示された.また,負のひずみ分布とアクチンフィラメントの密度分布との相関性より,負のひずみ増分がアクチンフィラメントの脱重合に関わる可能性を示した.これは,力学的因子のアクチン骨格構造の再構築過程への関与を示唆する重要な結果である.次に,力学的因子・生化学的因子の相互作用と細胞運動への影響を明らかにするため,マイクロパターニング技術を用い,パターンを施した基板上を運動するケラトサイトの力学的応答を観察・評価した.その結果,パターン上を運動する細胞は、パターンに応答して運動し,通常のガラス上を運動する細胞に比べて高い頻度でカルシウム応答を示し,カルシウム応答の頻度と基板上のパターン配列とは同調していることが示された.カルシウム応答は,細胞膜の張力やアクチン骨格構造の力学的状態が変化した際に生じることを考慮すると,マイクロパターニングによる細胞運動メカニクスの検討が可能となる.本手法を用いて,引き続き細胞運動時におけるアクチン骨格構造の動的振舞いとカルシウム応答の関連性について検討を進める.
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Research Products
(5 results)