2007 Fiscal Year Annual Research Report
ランタン添加セリウム六硼化物への希土類磁性イオン添加によるIV相秩序変数解明
Project/Area Number |
07J05839
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
近藤 晃弘 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 希土類化合物 / 多極子秩序 / CeB_6 |
Research Abstract |
本年度は、Ce_xLa_<1-x>B_6のIV相の秩序変数に関する情報を得るために、新たにCe_<0.6>Nd_yLa_<0.4-y>B_6(y=0.05,0.06,0.07,0.08)の単結晶を作製し、磁気抵抗測定および磁場中比熱測定を行った。その結果、以下に示すようにこれまでのCe_<0.7>Nd_yLa_<0.3-y>B_6系とは大きく異なる結果を得た。 1.x=0.7ではI-IV相転移温度(T_<I-IV>)はNd添加により影響を受けなかったが、x=0.6ではT_<I-IV>が増加するという奇妙な結果が得られた。T_<I-IV>はNd5%添加によりおよそ20%も増加する。さらにNdを8%添加すると、T_<I-IV>は添加前と比べて約2倍にもなる。このような振る舞いは添加したNdイオンの持つ八極子モーメントによる可能性がある。 2.x=0.7ではNdを添加するとIII相領域のみが拡大し、わずか3%の添加によりIV相は消滅する。これに対し、x=0.6ではIII相領域の拡大に伴いIV相は高温側にシフトしていく。このようにx=0.7とx=0.6ではNd添加による影響に違いが見られる。 3.Ndを8%添加したCe_<0.6>Nd_<0.08>La_<0.32>B_6では、III相に大きな異方性が存在することが明らかになった。特に、磁場を[110]方向に印加すると新奇相(III^<[110]H>相)が出現することを見いだした。 II相からIII^<[110]H>相への転移温度(T_N^<[110]H>)はT_<I-IV>と滑らかに繋がっていることから、IV相とIII^<[110]H>相には何らかの関係がある可能性が高いと考えられる。 上記の結果を踏まえ、来年度はIV相秩序変数に関する知見を得るため、Nd添加によるT_<I-IV>増加の機構の解明、およびIII相の大きな異方性の起源を明らかにしていきたい。
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Research Products
(1 results)