2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05880
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀 彰宏 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 強磁性体 / 量子ゆらぎ / 超伝導体 / 空間反対称 / UIr |
Research Abstract |
強磁性と共存する超伝導の特徴を明確にする目的で,圧力誘起超伝導体Ulrの研究を行った.空間反転対称性の破れた結晶構造をもつUIrにおいて.強磁性と超伝導が共存する.このような系では,スピン一重項とスピン三重項の対称性をもつクーパー対が混成した超伝導が実現可能であると考えられている.スピンの混成という理論的な予測を実証し強磁性と超伝導がミクロに共存し,そのクーパー対の対称性まで明らかにすることが,本研究の目的である.研究目的に応えるためインデンター型高圧セル(到達圧力〜5GRaを用いて電気抵抗,磁化,交流帯磁率測定といった多角的な物性測定に加え,SPring-8において超伝導の実現する圧力領域(〜2.5GPa)における高圧下での結晶構造の特定にも取り組んだ.従来の研究よりUlrでは圧力下で3つの強磁性相(FM1-FM3)が現れ,超伝導はFM3が消失する直前の圧力領域(2.5-2.7GPa)で出現することがわかっていた.しかし[010]方向の残留抵抗が1.5-2.5GPa)で急激に増大するため,構造相転移と思われる圧力誘起の一次転移と,それに伴う相分離の可能性があり,超伝導がFM3と微視的に共存しているかの議論はできていなかった.本年度の研究では圧力煤体を従来用いていたダフネオイル7373からより静水圧性の高い右油エーテルを用いて電気抵抗測定を行った.この結果電気抵抗の温度変化が,2.1-2.8GPaの広い圧力領域で温度に対しヒステリシスを観測することができ,低圧相,高圧相の存在が明らかになった.また石油エーテルではFM3相への転移は確認できなかったため,超伝導に関係していると思われるFM3は高圧相で起きていると推察される.圧力下での構造相転移の有無,超伝導が出現する圧力での結晶構造を明確にするため,SPring-8において4GPaまでの粉末X線回折実験を行い現在精密解析中である.
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Research Products
(3 results)