2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05880
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀 彰宏 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 強磁性体 / 量子ゆらぎ / 超伝導体 / 空間反対称 |
Research Abstract |
本年度は,空間反転対称性が存在しない2つ物質(U_3P_4,Cd_2Re_2O_7)での圧力効果に特化した研究を行った.近年発見された空間反転対称性の無い超伝導体であるCeRhSi_3,CeIrSi_3で観測させるパウリ対破壊効果の抑制による巨大な上部臨界磁場は空間反転対称性の欠如の効果を考えないと説明がつかない新規物性である。空間反転対称性のない系に固有の新現象をその他の物質で実験的に検証していくことは重要である.U_3P_4は空間反転対称性の欠如した結晶構造をもち,常圧での強磁性転移温度T_c=138Kの遍歴強磁性体である.インデンター型圧力セルを用いて電気抵抗測定,交流帯磁率測定を行い,詳細な温度-圧力相図の決定,強磁性-非磁性転移,強磁性揺らぎ効果の研究を行った.交流帯磁率測定により臨界圧力P_cは約4.2GPaであり,また電気抵抗測定によりP_cでの残留抵抗の急激な上昇がみられた.さらにP_c近傍での電気抵抗の温度依存性はT^<5/3>という強磁性揺らぎを反映した振る舞いを示すことがわかった.次にCd_2Re_2O_7はパイロクロア酸化物で初の超伝導体である.低温で構造相転移を示し,超伝導は空間反転対称性の破れた構造で発現する.また庄力まで反転対称性の有する相へ転移することが示唆されており,空間反転対称性と超伝導の関係を調べる上で興味深い物質である.本研究ではインデンター型圧力セルを用いて電気抵抗測定,上部臨界磁場測定を行い,4.6GPaまでの詳細な圧力-温度相図と上部臨界磁場の圧力変化を調べた.その結果,高圧相が誘起される4GPa近傍で残留抵抗の異常増大と新たな超伝導相を発見し,超伝導転移のonsetの上昇を観測した.高温で広い温度領域でヒステリシスがみられることから相分離の可能性が示唆される結果を得た.上部臨界磁場は加圧により増大し3.96GPaでの上部臨界磁場H_<c2>はパウリ・リミットを越えることが明らかになった.また空間反転対称性を有すると考えられる4.47GPaでも上部臨界磁場の抑制は見られなかった.
|
Research Products
(6 results)