2008 Fiscal Year Annual Research Report
私生活の自由を確保する「カップル」保護の法理論:法律婚の相対比を通じて
Project/Area Number |
07J05896
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大島 梨沙 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 婚姻法 / カップル / フランス / 家族法 |
Research Abstract |
本研究は、非婚カップルの法的扱いと婚姻法のあり方・婚姻法理論は表裏一体であることから、その双方を検討対象としつつ、カップル形態が多様化する現代に見合う、カップルをめぐる新たな法秩序・法理論の構築を目的とするものであり、本年度が最終年度の2年目にあたる。 昨年度から引き続き、今年度9月まで、近年、婚姻関連法の改正などのダイナミズムが見られるフランスでの在外研究を行った。その結果、フランスでは、婚姻(法律婚)の本質は、子どもを産み育てるための基本単位、(夫婦とその子どもから成る)「家族」の基盤に求められる(したがって婚姻の異性愛性、内縁・パックスと親子法制との区別が帰結される)という伝統的考え方がある一方、近年では、そういった生殖の側面にとらわれない、婚姻の個人的・精神的次元の強化も確認される(これらについては、判例評釈、立法紹介の形で原稿を執筆し、現在校正段階である)。他方、離婚の容易化、共同親権の徹底、嫡出子・非嫡出子区別の撤廃などは、婚姻の特殊性・独自性を失わせるもののようにも見えるが、カップル関係と親子関係とを一体に規律する制度は、婚姻に留保されている。 では、日本の文脈ではどうなのか。これを明らかにするため、フランス在外研究から帰国した本年度後半は、日本の婚姻・内縁をめぐる総合的な裁判例分析により、日仏での「婚姻」概念の相違に迫った(北海道大学法学研究科に、「事前審査論文」として提出した)。 本研究の成果は、さらに検討を重ねたうえで、近日中に博士論文として完成させ、公表する予定である。
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Research Products
(1 results)