2007 Fiscal Year Annual Research Report
私生活の自由を確保する「カップル」保護の法理論:法律婚の相対化を通じて
Project/Area Number |
07J05896
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大島 梨沙 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カップル / 婚姻法 / フランス / 家族法 |
Research Abstract |
本研究は、わが国における曖昧な婚姻法・婚姻法理論と、それに引き寄せる(あるいは突き放す)形での非婚カップル保護理論への問題意識から、カップル形態が多様化する現代に見合う、カップルをめぐる新たな秩序・法理論の構築を目的とするものである。 本年度は、まず年度当初に、本研究の第一段階である、フランスにおける非婚カップル保護理論の研究の成果を公表し、(1)法における「カップル」関係の取り扱いの特微を解明すること、(2)日仏間の法的・文化的・社会的相違に着目することを通して、日本におけるカップル保護法構造の特徴を体系的に把握することが、今後の課題となることを明らかにした。 第一の点に関しては、カップル関係解消の際の特殊性を知る手がかりとして、契約交渉破棄事例の研究を行い、双方に共通して、「信頼」の裏切りが鍵となることが示唆されたが、法における「カップル」関係の特徴の解明は、この方向からの研究のみでは不十分である。このため、カップル関係のキーワードなると思われる「性」をめぐる知見について、法学にとどまらず、多様な分野から吸収しているところである。その「性」が具体的に法的問題として表れる1つの例が、同性カップルの法的承認や同性婚の問題であり、これについても文献の渉猟を進めているところである。 第二の点については、本年度半ばより、フランスにおいて在外研究をすることにより、日仏間の相違を今まで以上に認識し、日本法の特徴や問題点を見出してきているところである。 当初から、今年度はインプットの年と位置づけていたが、その通り、今年度は多くの知見を吸収することができた。来年度は、それらの知見を踏まえて、成果の具体化を意識しながら、研究に取り組む予定である。
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Research Products
(2 results)