2007 Fiscal Year Annual Research Report
全ゲノムデータを基盤とする大規模な遺伝子情報を指標とした霊長類の系統的起源の解明
Project/Area Number |
07J05899
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西原 秀典 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 助教
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Keywords | レトロポゾン / ゲノム系統学 / 哺乳類進化 / 分子系統学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、レトロポゾンと呼ばれるゲノム中の散在性反復配列の挿入パターンを指標として哺乳類の目間の系統解析をおこない、霊長類の系統的起源を解明することである。哺乳類の中でも古くに分岐した系統関係に関しては、膨大な遺伝子情報の解析、およびレトロポゾンの挿入を指標とした系統解析が強力な手法となる。本研究ではまず様々なレトロポゾン情報をゲノムDNAライブラリおよびデータベースから収集した。一方で、大量の遺伝子配列情報に基づいた哺乳類系統樹の再構築をおこなった。その結果、哺乳類の中でも比較的初期に分岐した北方獣類、アフリカ獣類、貧歯類の関係について興味深い結果が得られた。収集した遺伝子配列データを塩基レベル、アミノ酸レベル、コドンレベルで解析した結果、全く異なる結果が得られた。特に全塩基配列を繋げた配列をそのまま解析するといった一般的によく用いられる手法ではアフリカ獣類と貧歯類の単系統性を非常に強く支持した。しかしこの配列データを遺伝子ごとの進化速度・進化パターンの違いを考慮して再解析した結果、上記のいずれのレベルにおいてもアフリカ獣類が最初に分岐したという結果を得た。このことから明らかになったことは、大量遺伝子データを用いた分子系統学においては、遺伝子ごとの進化速度やパターンの違いを考慮に入れなければ大きく誤った結果を導いてしまう危険性があるということである。近年の分子系統学においては豊富なデータ量を用いた系統解析が主流であるが、この研究によってその問題点と解決策について重要な提言をおこなった。
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Research Products
(3 results)