2008 Fiscal Year Annual Research Report
食品・医薬品における副作用の予防:ヒトABCトランスポーター遺伝子多型の機能解析
Project/Area Number |
07J05900
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 藍 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ABCトランスポーター / ABCG2 / ポルフィリン / フェオフオルバイドa / 光線過敏 / 光毒性 / CDK inhibitor / ポルフィリン症 |
Research Abstract |
ヒトの小腸に発現しているABCG2は生体異物の体内侵入を阻止する防御システムの1つである。植物性クロロフィルの代謝物フェオフォルバイドaが小腸から吸収されて血液循環系に侵入すると光線過敏症の症状を引き起こすが、正常人ではABCG2がその侵入に対する防御機能を果たしている。フェオフォルバイドaとABCG2を阻害する化合物とを同時に摂取した場合、光線過敏症のリスクが高まると考えられる。本研究では、ABCG2と光線過敏症の因果関係の解明と光線過敏症のリスクを予測するシステムの確立を目的としている。 初年度は、ABCG2の輸送阻害スクリーニング系及び光毒性アッセイ系の確立を行った。2年目となる当該年度は、この評価系を用いて様々な化合物・薬物を試験し、ABCG2の阻害に関与する化合物・薬物に共通する化学構造因子を見出すことを目的として以下の項目を行った。 ABCG2ポルフィリン輪送を阻害し、光毒性のリスクを上昇させるCDK inhibiorの構造的特徴の解析 今回試験した5種類のCDK inhibitorは、化学式は類似しているが、ABCG2の阻害活性には相違が見られた。分子軌道計算による3D構造解析の結果、より平面構造をとりやすいCDK inhibitorほど、ABCG2のポルフィリン輸送を強く阻害することが明らかとなった(Pharm Res.26(2),449-458,2009)。 遺伝性ポルフィリン症患者のABCG2 cDNAシークエンス解析用プライマー検討 ポルフィリン症とは、ヘム合成系の酵素の活性低下による有害な中間代謝産物の蓄積によって起こる一連の疾患群をいう。中でも遺伝性ポルフィリン症については、同じ遺伝子異常でもその発症や症状の重篤度には個人差が認められており、その原因は十分明らかとなっていない。個人差の一因として、ABCG2の遺伝子多型によるポルフィリン輸送障害が考えられる。本年度は、遺伝性ポルフィリン症患者とその家族のABCG2 cDNAのシークエンス解析を目的として、プライマーのデザイン、シークエンス条件の検討を行った。検討の結果、ABCG2 cDNAの増幅、シークエンス解析に最適なプライマーを設計できた。
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Research Products
(10 results)