2007 Fiscal Year Annual Research Report
非整数階微分を利用した地殻き裂システムにおける複雑流動挙動のモデル化と工学的展開
Project/Area Number |
07J05956
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 隆一 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非整数階微分 / 移動現象論 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
本年度は地熱エネルギーならびに物質循環システムの構築において中核となる地殻内複雑流体移動の解明を目的とし,以下の項目1,2に取り組んだ. 1.Fractional Derivativeを利用した物質輸送モデルの数値計算手法構築 Fractional Derivative(非整数階微分)を利用した物質輸送モデルは従来の数学モデルに比べてより少ない変数で地殻内物質輸送をより適切に記述できることが報告されている.詳細な地質情報や物性値を入力することなくトレーサー応答を再現可能なため,大域的な物質輸送の把握手段として期待されている.しかしながら,数学モデルを解析的に解ける条件は非常に限られているため,実用化のためには数値計算手法の構築が不可欠である.本年度は,これまでに開発した一次元移流拡散モデルの改良を行った.また,一次元モデルでは表現が困難な物質輸送解析のために円筒座標系・球座標系での数学モデル開発に取り組んだ,地中の一点,ないしはボアホールを起点とする拡散現象をより適切に記述できるため,高レベル放射性廃棄物処分における核種の長期移行予測等への寄与が期待される. 2.複雑系流動パラメータの決定手法構築 本数学モデルには未決定パラメータ(非整数となる微分の階数など)と実際の物性値との関連は未だ明らかにはされていない.そのため,逐一計算を行い観測されるトレーサー応答を満足するパラメータ群を見いだす必要がある.本年度は開発した移流拡散モデルと非線形計画法に基づく数値最適化手法を組みあわせることで,トレーサー応答を再現できる最適なパラメータ群を自動的に決定する手法の構築に成功した.これまでの目視による重ね合わせに比べてより客観性のあるパラメータ群が取得可能となった.
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Research Products
(4 results)