2007 Fiscal Year Annual Research Report
核構造の安定化に機能を持つリボソーム生合成調節因子に関する研究
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07J05962
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀籠 智洋 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リボソーム生合成 / 核膜 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
核膜に局在する酵母のリボソーム生合成調節因子Ebp2p,Rrs1pについて機能解析を行い、以下の成果を得た。 1.Ebp2pと相互作用するRrp14pが60Sリボソームサブユニットの生合成に機能を持つことを示した。また、rrp14破壊によりアクチン極性に重大な欠陥が生じることから、Rrp14pが細胞極性に重要な役割を果たすことを見出した。これらの結果はリボソーム生合成と細胞分裂の連携解明に向けた重要な発見である。 2.出芽酵母には、細胞膜合成経路の遮断によりリボソーム構成成分の転写抑制が引き起こされるシグナル伝達経路が存在する。ebp2変異株を用い、ノザン解析および[3H]メチオニン・パルスチェイス実験により、Ebp2pが本シグナル伝達に必須の機能を持つことを明らかにした。また、細胞膜合成経路を遮断した時、核小体の凝縮が引き起こされることを示し、栄養状態によりリボソーム生合成を調節しているTOR経路における転写抑制機構との類似性を示した。 3.in vitro pull down assayによりEbp2pおよびRrs1pが、真核生物において広く保存されたSUNドメイン蛋白質Mps3pと相互作用することを明らかにした。Mps3pは膜貫通ドメインを介して核の内膜に埋め込まれ、そのN末端側の領域を核質側に露出した配向をとる。N末端領域が欠失したMps3pを発現する変異株において、Ebp2pの核膜への局在が不安定となり、核形態の異常が検出された。この結果はEbp2pがMps3pのN末端領域との結合を介して核膜に局在し、核の形態維持において重要な役割を果たすことを示している。核膜は転写や修復、さらには老化など、核内における多様な機構に関与しているが、これらとリボソーム生合成との関連についてはこれまでに報告がなく、Ebp2pおよびRrs1pがこれら機構間の連携を解き明かす鍵となることが期待される。
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Research Products
(3 results)