2007 Fiscal Year Annual Research Report
高周期14族元素を骨格に含む新規π電子系化合物の創製
Project/Area Number |
07J05965
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 剛 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジシレン / ヘキサシラベンゼン / パラジウム / エックス線構造解析 / ジシレン錯体 / スチルベン |
Research Abstract |
昨年度合成に成功した剛直な六員環構造をもつシスージシラスチルベンの反応性を検討した。光反応ではシススチルベンに見られるような電子環状反応は進行せずに同定不明な複雑な混合物を与えた。 これはケイ素-ケイ素二重結合上の2つのフェニル基間の距離が離れているために、2つのフェニル基上の軌道の重なりが小さく電子環状反応が進行しなかったものと考えられる。また、ジシラスチルベンとジ(シクロヘキシルホスフィン)パラジウムとの反応では、新規14電子ジシレン錯体の合成に成功した。X線単結晶構造解析の結果、この新規ジシレン錯体はこれまでで最もπ錯体性の強いジシレン錯体であることを見出した。これはケイ素-ケイ素二重結合上に嵩高く剛直な環状アルキル基を用いることで、立体的要請によりホスフィン配位子がジシレンに対して対称に配位し、その結果、ホスフィンのリン原子上のn軌道とπ逆供与に用いられるパラジウム上のd軌道との重なりが小さくなり、Pd上の電子密度が減少し、π逆供与が顕著に弱くなったためと推定した。 また上記の剛直な六員環構造を持つジシレンをユニットとしてまったく合成例の無いヘキサシラベンゼン(ベンゼンの不飽和炭素をすべてケイ素に置換した化合物)の合成を検討した。上記ジシラスチルベンと同様な合成法を用いてヘキサシラベンゼンの有用な前駆体と期待される1,1,2,2-テトラハロ-1,2-ジシラシクロヘキサンの合成に成功した。
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Research Products
(1 results)