2007 Fiscal Year Annual Research Report
海氷生成と融解に伴う大気への二酸化炭素放出・吸収に関する研究
Project/Area Number |
07J05968
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 大樹 Hokkaido University, 大学院・環境科学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 海氷 / 二酸化炭素 / 炭素循環 / ブライン / 海氷下海水 / 海氷コア / オホーツク海 / サロマ湖 |
Research Abstract |
『研究の目的』は、季節海氷域での氷上現場観測より海氷の生成・融解に伴う大気-海洋間のCO_2交換を支配する要因を明らかにし、季節海氷域が炭素循環に果たす役割を評価することである。本年度の『研究実施計画』は、1、大気-海氷間の各種気体交換量の解明(氷上現場観測に用いるCO_2交換量測定機器の開発、海氷生成時における海水塩分の違いが大気-海氷間のCO_2フラックスに及ぼす影響)、2、海氷中ブライン・海氷下海水のサンプリング及び各種気体の分析である(オホーツク海及びオホーツク海沿岸サロマ湖での氷上現場観測)。 氷上現場観測に用いるCO_2交換量測定機器の開発 CO_2交換量測定用チャンバー内のCO_2を高精度で測定するためには、NDIR内に流す空気の流量を低く、一定に保つことが望ましい。そこで、低流量型の小型ダイアフラムポンプを購入し、室内もしくは屋外での予備実験を繰り返した。その結果、流量は約0.8L min.^<-1>で安定し、より高精度なCO_2測定が可能となった。 海氷生成時における海水塩分の違いが大気-海氷間のCO_2フラックスに及ぼす影響 北海道沿岸サロマ湖、バルト海北部ボスニア湾などの低塩分環境からの結氷を低温室での海氷生成・成長実験より再現し、海水塩分の違いが大気-海氷間のCO_2フラックスに及ぼす影響を評価した。その結果、低塩水から海氷が成長するとブラインの大幅な塩分変化により高濃度のCO_2がブラインから大気に放出されるが、放出経路となるブライン体積比や気体透過性が小さくなるので、単位面積当たりの放出量としては小さくなった。一方、海水の塩分(高全炭酸濃度)が高いと、放出するCO_2は低濃度であるが、ブライン体積が大きいため気体透過性は大きくなるので、放出量は前者をしのぐと考えられる。これらの結果は河川の影響を受けた多くの季節海氷域に適応できると考えられる。 オホーツク海及びオホーツク海沿岸サロマ湖での氷上現場観測 2008年2月8日から14日に海上保安庁巡視船『そうや』によるオホーツク海南部季節海氷域での氷上現場観測を行った。また、2008年2月20日から3月10日にオホーツク沿岸サロマ湖、知床ウトロ沿岸での氷上現場観測を行った。観測では、氷上での大気-海氷間のCO_2フラックス測定、海氷コア、海氷中ブライン、海氷下海水が採取された。現在、採取したサンプルを研究室又は低温実験室で処理・分析中である。サンプルの測定・解析より物理、化学・生物過程が担っているそれぞれのCO_2吸収・放出能力を評価する。
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Research Products
(6 results)