2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子系統解析によるヒゲクジラ類の進化史の研究〜適応放散の解明にむけて〜
Project/Area Number |
07J05970
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
佐々木 剛 The Institute of Statistical Mathematics, モデリング研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 進化生物学 / 分子系統学 / ヒゲクジラ / 核遺伝情報 / 生物多様性 |
Research Abstract |
本年度は研究課題の開始年度であり実験によるデータの収集と解析に先立ちに研究進行上の基盤となる標本収集と既知データの収集及びリストアップを行った。当初研究計画では研究開始序盤からヒゲクジラ類全14種を用いた実験が行われる予定であったが、試料に限りのある数種を除いた8種(ナガスクジラ、ザトウクジラ、シロナガスクジラ、イワシクジラ、ニタリクジラ、ミンククジラ2種、セミクジラ)で分子系統解析に有効となりそうな遺伝子を決定し、最後に全種で配列決定を行う方針で研究を進めた。既知データの収集として私はまずこれまでに哺乳類系統進化研究(Madsen et al.,Nature,2001,409:610-614など)で解析された実績のある遺伝子の配列情報の収集を行った。その結果、核遺伝子配列23個が入手できた。その他の遺伝子についてもデータベースから情報を収集し、本研究課題のデータベース基盤の充実をはかった。年度後半には実験に着手し15遺伝子配列(IRBPなど)でPCRプライマーを設計し遺伝子の配列決定を試みた。初回のPCRで遺伝子増幅に成功し配列決定が行えた遺伝子はRAG1,RAG2,APPの3つであった。これら3遺伝子の配列を分析したところ種内での遺伝的多型状態は見られず種間での変異もある程度観察された。この観察結果からこれら3遺伝子は分子系統解析に用いる遺伝子として適していることが予想された。その他の遺伝子についても現在改めてプライマーを設計し順当に遺伝子の増幅と配列決定を進めているところである。また、今年度より始まった本研究課題の進行とともに前年度まで行っていた研究の研究論文をまとめ19年度中に2報発表した。
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Research Products
(3 results)