2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダイアンソウイルスの遺伝子発現制御と複製機構の解明
Project/Area Number |
07J05983
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩川 弘宙 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | キャップ非依存性翻訳 / プラスセンスRNAウイルス / エクソヌクレアーゼ / RNA複製 / 植物ウイルス / ダイアンソウイルス |
Research Abstract |
ダイアンソウイルス属のRed clover necrotic mosaic virus(RCNMV)を1本鎖プラスセンスRNAのモデルウイルスとして用い,ウイルスタンパク質翻訳,RNA複製の制御に関わるいくつかの新たな機構を明らかにするとともに、これらの機構に関わる可能性のある数種の候補宿主タンパク質を同定した.(1)感染後期に細胞内に蓄積するRCNMV RNA1の3'非翻訳領域(UTR)に由来する約450塩基の低分子量RNA(SR1f)がin vitroで濃度依存的にcap依存的翻訳とcap非依存的翻訳をいずれも抑制すること,また,SR1fは,サブゲノムRNAではなく,RNA1 3'UTRの5'側近傍に存在するRNA因子が5'→3',エクソリボヌクレアーゼ分解から3'側RMAを守ることにより蓄積する分解中間体であることを示した.SR1fは,感染後期でのウイルスの翻訳を抑制し,複製段階へとスムーズに移行させるリボレギュレイターである可能性を示唆した.(2)ストレプトタグ融合ウイルスRNA断片を用い、in vitroウイルス翻訳・複製系からアフィニティー精製し、質量分析によりRCNMV RNAに特異的に結合する約10種のタンパク質を同定した。その内の3つは、RNA1の5'UTRに結合するAC rich binding factor(ACBF)とThreonyl-tRNA synthetase(ThrRS),RNA1の3'UTRに結合するPoly(A)-binding protein(PABP)である。これら3種の遺伝子の完全長cDNAをタバコBY-2細胞より単離し、これらタンパク質の過剰発現のRCNMV3'TE-DR1介在キャップ非依存的翻訳に及ぼす影響をin vitroウイルス翻訳系で調べた。いずれのタンパク質も3'TE-DR1依存キャップ非依存的翻訳を促進したことから、これらのタンパク質は宿主因子の候補である可能性が示唆された.
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