2009 Fiscal Year Annual Research Report
ダイアンソウイルスの遺伝子発現制御と複製機構の解明
Project/Area Number |
07J05983
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩川 弘宙 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 植物ウイルス / 翻訳 / 複製 / RNA結合タンパク質 / ポリA結合タンパク質 |
Research Abstract |
申請者はダイアンソウイルス属レッドクローバーネクロティックモザイクウイルス(RCNMV)が持つ特殊な翻訳機構と遺伝子発現制御メカニズムを研究することにより、植物RNAウイルスの時空間的遺伝子発現制御機構の解明を目的としている。本年度は2つの研究で大きな成果が得られた。 1)RCNMV RNA1には存在しないRNA2が独自に持つ、ウイルス複製酵素タンパク質認識RNA因子の同定 ウイルス複製酵素は大量に存在する宿主のRNAの中からウイルスRNAを特異的に認識しなければならないが、その機構は未だにほとんど分かっていない。複製酵素によるRCMNVのゲノムRNA認識機構を解析するため、ストレプトマイシンに結合するアプタマー配列(ストレプトタグ)を付加したゲノムRNAの様々な断片を、植物無細胞系内で発現されたウイルス複製酵素と混和し、ストレプトマイシン結合カラムで精製した。その結果、複製酵素はRNA2の3'UTRに存在するY字型構造に特異的に結合することが分かった。一方RNA1は、複製酵素を翻訳したRNAのみが複製酵素と相互作用することが明らかとなった。現在研究をまとめ国際誌への投稿準備中である。 2)RCNWVのゲノムRNAに結合する宿主タンパク質の同定、及び機能解析 ウイルスは様々な宿主タンパク質を利用して効率よく遺伝子発現およびRNA複製を成し遂げる。RCNMVのゲノムRNAに結合し、翻訳または複製に関わる宿主因子を同定するため、ストレプトタグを融合したウイルスRNA断片を植物抽出液と混和しRNA結合タンパク質を精製した。その結果、ゲノムRNAに結合する9種の宿主タンパク質を同定することに成功した。その中の一つ、ポリ(A)結合タンパク質はRNA1 3'UTRのアデニンが豊富な領域に結合しRNA1の翻訳を促進することが明らかとなった。現在研究をまとめ国際誌への投稿準備中である。
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[Journal Article] Host-dependent roles of the viral 5' untranslated region(UTR)in RNA stabilization and cap-independent translational enhancement mediated by the 3' UTR of Red clover necrotic mosaic virus RNA12009
Author(s)
Sarawaneeyaruk, S., Iwakawa H-O., Mizumoto, H., Murakami, H., Kaido, M., Mise, K, Okuno, T.
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Journal Title
Virology 391
Pages: 107-118
Peer Reviewed
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