2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05984
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石黒 哲郎 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 半導体光物性 / 超高速分光 / 窒化物半導体 |
Research Abstract |
本研究は、励起子・励起子分子及び励起子微細構造を含む複数のチャンネルを同時励起可能なGaNの特徴に着目した多チャンネル型励起子コヒーレント制御を目的とする。本年度は、a面サファイア基板上GaN薄膜を用いた励起子微細構造における励起子コヒーレンスの特徴を調査した。現在GaNの励起子微細構造における励起子コヒーレンスについては、量子ドット等の低次元構造は元よりバルク材料においても調査報告例がないため、コヒーレント制御を行う上でその詳細を明らかにする必要がある。a面サファイア基板上GaN薄膜における励起子状態は、面内における基板との熱膨張係数差に起因する非対称な歪に伴う交換相互作用により縮退が解け、微細構造に分裂する。そのため、励起子微細構造は高い偏極度を有し、励起光の偏光に対し強い選択性を示す。我々はこの特徴を利用し、偏光選択励起による周波数分解縮退四光波混合分光(SR-DFWM)測定を行い、励起子微細構造の各共鳴に対応したコヒーレントダイナミクスを調査した。その結果、c面サファイア基板上GaN薄膜の励起子位相緩和時間と比較して、励起子微細構造における共鳴間の位相緩和時間に明確な差異があることを示した。測定温度域(<120K)では各共鳴に対するフォノン散乱の寄与は同程度であること、及びGaNにおける励起子位相緩和時間は交換相互作用による励起子スピン緩和によって決定されることから、微細構造における位相緩和ダイナミクスの差異は、交換相互作用により誘起される有効磁場の異方性による異方的な励起子スピン緩和に起因していることを明らかにした。
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Research Products
(10 results)