2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05984
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石黒 哲郎 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 窒化物半導体 / 半導体光物性 / 超高速分光 |
Research Abstract |
本研究は、励起子/励起子分子及び励起子微細構造を含む複数のチャンネルを同時励起可能なGaNの特徴に着目した励起子コヒーレント制御を目的とする。本年度は、a面サファイア基板上GaN薄膜の励起子微細構造におけるコヒーレントダイナミクスを調査した。励起子微細構造における励起子コヒーレンスについては、コヒーレント制御を行う上でバルク材料を用いた系統的な実験を行い、その詳細を明らかにする必要がある。a面サファイア基板上GaN薄膜の励起子状態は、基板との熱膨張係数差に起因する非対称な歪に伴う異方的交換相互作用によりスピン縮退か解け、微細構造に分裂する。そのため、励起子微細構造は高い偏極度を有し、励起光の偏光に対し強い選択性を示す。我々はこの特徴を利用し、偏光選択励起による周波数分解縮退四光波混合分光(SR-FWM)を行い、微細構造の各共鳴に対応した励起子位相緩和時間を測定した。その結果、各共鳴は、等方的歪試料の縮退した励起子共鳴とは異なり、異方的な位相緩和を示すことがわかった。GaNの励起子位相緩和時間がそのスピン緩和時間によって決定されることを考慮すると、得られた結果は微細構造における異方的なスピン緩和を示唆する。一方、試料の一軸歪エネルギー及び交換相互作用定数を基に微細構造における異方的交換相互作用効果を理論計算によって求めた所、スピン分裂の非対称性を反映した非対称な有効磁場がc軸に垂直な波数平面に分布することがわかった。さらに測定温度域(<120K)では、位相緩和の異方性に対して散乱よりもスピン緩和の寄与の方が大きくなることがわかった。以上の結果から、励起子微細構造は本質的に異方的な位相緩和を示すこと、及びその起源が異方的交換相互作用によるスピン緩和の異方性であることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)