2009 Fiscal Year Annual Research Report
証明論と論理的意味論の二元論に対する論理哲学と認知科学による統合的研究
Project/Area Number |
07J06005
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹村 亮 Keio University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 証明論 / 図形推論 / オイラー図 / ヴェン図 |
Research Abstract |
本年度は特に以下のような図形推論研究を中心的に行った。 位相的関係を基に形式化されたオイラー図及びヴェン図の、表現力に基づく階層化を行った。最も基本的なシステムは報告者が共同研究者と共にこれまでに導入したオイラー図システムであり、このシステムでは円と点のみが図形的対象として扱われる。この図形推論システムは、三段論法などの基本的な論理推論を特徴付けるのに充分な表現力を持つ。この最も基本的なシステムに、共通集合領域や和集合領域、補集合領域をそれぞれ図形的対象として加え、それらの間の位相的関係を取り扱うことで、より表現力の豊かな図形推論システムを得ることができる。最も表現力の豊かな図形推論システムがヴェン図を用いた図形推論システムであり、一項述語論理と同等の表現力を持つことが示されている。またこの階層中の各図形推論システムは、保守的拡大の関係にあることを証明した。 オイラー図やヴェン図はこれまでの先行研究では、領域の集合として形式化されてきた。このような領域ベースの図形の形式化の枠組みに対して、報告者は共同研究者と共に、図形的対象の間の位相関係(包含・排他関係)を基に図形を形式化する枠組みを提案してきた。報告者は、これらの領域ベースの枠組みと関係ベースの枠組みを証明論の観点から比較分析を行った。一般に、図形は記号論理学における論理式に対応し、図形に対する操作は特定の記号論理体系における推論規則に対応する。このような観点からは、領域ベースの枠組みにおける図形は選言標準形論理式に対応し、またそのような図形に対する推論規則は導出計算に対応する。他方で、関係ベースの枠組みにおける図形は含意結合子に基づく論理式に対応し、またそのような図形に対する推論規則は自然演繹体系の含意結合子に付随する推論規則に対応する。これらの対応を形式化して証明した上で、それぞれの枠組みの利点と難点について議論した。
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Research Products
(9 results)