2008 Fiscal Year Annual Research Report
HNK-1糖鎖に内在する生体情報の解読とその発現調節機構に関する研究
Project/Area Number |
07J06033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木塚 康彦 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 糖鎖 / 糖転移酵素 / HNK-1 / 脳 / グルクロン酸 |
Research Abstract |
私は、神経系に高発現するHNK-1糖鎖の機能と発現調節の解明を研究課題としている。特に、その生合成に必須な2種のグルクロン酸転移酵素(GlcAT-P,GlcAT-S)と硫酸基転移酵素(HNK-1ST)を中心として研究を進めてきた。今年度は、前年度からの研究を引き続いて発展させるとともに、新たな糖鎖発現調節機構の解明に取り組んだ。 まず糖鎖発現調節機構に関して得られた結果としては、選択的スプライシングによるGlcAT-Pの新たな活性調節機構を明らかにし、Journal of Biological Chemistry誌に報告した。また、金沢大学の浅野雅秀教授のグループとの協力で、ガラクトース転移酵素B4GalT2遺伝子欠損マウスでHNK-1糖鎖が特異的に消失していることを明らかにし、Journal of Biological Chemistry誌に報告した。これらの知見は、従来単一の糖転移酵素の発現量だけで議論されてきた糖鎖の発現が様々な因子により制御されていることを示す結果であると言える。またphosphacanと呼ばれる脳内のプロテオグリカン分子に、新規の根幹構造を有するHNK-1糖鎖が発現していることを明らかにした。この糖鎖の根幹構造は哺乳動物では大変珍しいもので、骨格筋の形態維持に重要な役割を果たすことがしられているが、脳での機能に関する解析はほとんどされていない。この結果は現在論文としてまとめつつあり、これまで知られていなかったHNK-1糖鎖の機能を強く示唆するものであると言える。
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Research Products
(4 results)