2007 Fiscal Year Annual Research Report
構造機能維持及び超早期復旧を可能にするPCaPC耐震構造システム研究
Project/Area Number |
07J06045
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市岡 有香子 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 波形鋼板 / FEM解析 / PCaPC構造 / エネルギー消費 / 残留変形 / 損傷制御 / 自己復元性 / 制振装置 |
Research Abstract |
地震後の機能維持及び超早期復旧可能な構造物の実現を目的として,損傷抑制性能の高いプレキャストプレストレスト(以下PCaPC略記)、架構に,地震時応答低減のためのダンパー要素を付加した構造形式について研究を行った。PCaPC架構に組み込むのに適した形状で,低価格・維持管理容易という利点を有する「波形鋼板を用いたダンパー」を開発し,性能を実験的に検証した。また,PCaPC架構の特徴的な挙動を模擬できるFEMモデルを構築し,既往の実験結果が精度良く追跡できることを確認した。更に骨組み解析において,架構とダンパー要素の履歴の重ね合わせにより,提案する構造形式を適用した建物の地震時挙動が予測可能であることを示した。具体的な内容は以下である。 ダンパーは,薄板波形鋼板の上下に高剛性厚板平鋼板を接続することで,波形鋼板に変形を集中させ効率的にエネルギー消費を行うことを可能とした。ダンパー単体の載荷実験において,波形鋼板の形状によりダンパーとしての構造性能が制御できることを確認した。次いで開発したダンパーを組み込んだ,40%スケール1層1スパンのPCaPC架構を用いて静的交番載荷実験を行い,残留変形を抑制しつつ,地震時応答低減に十分なエネルギー消費性能が得られることを確認した。 解析に関しては,既往の研究で提案されたより線の付着応カ-すべり量履歴に改良を加え,目地部の開閉を許容したFEMモデルに組み込んだ。解析結果を既往の片持ち梁実験結果と照合し,部材全体の荷重-変形関係のみならず,コンクリートやPC鋼材等の構成要素の挙動までをも精度良く追跡できることを確認した。次いで実験に用いたPCaPC架構とダンパーをそれぞれ線材に置換した骨組み解析を行い,実験に用いた試験体全体の履歴が,架構とダンパーそれぞれの履歴の重ね合わせから得られることを確認した。
|
Research Products
(5 results)