2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06068
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
大塚 由美子 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 乳児 / 知覚発達 / 補完知覚 / 透明視 / 形態知覚 / 主観的輪郭 / 知覚的補完 / 視覚 |
Research Abstract |
本研究課題めテーマの1つである補完知覚の発達について、補完知覚能力の一種である透明視の知覚の発現期を実験に検討した。主観的な透明面の印象を引き起こすKanizsa図形を作成し選好注視法を用いて、生後3-6ケ月の乳児が主観的透明面を知覚するかどうか検討した。実験では、乳児に対して主観的な透明面の印象を引き起こすKanizsa図形(透明視図形)、および要素を反転させた透明視の見えない図形を対提示した。統制条件では、乳児がKanizsa図形の幾何学的特性に対して反応する可能性を統制するために、透明面の印象を引き起こさないKanizsa図形、およびその要素を反転させた図形を対提示した。実験の結果、乳児は透明視図形を同要素の反転図形よりも長く注視し、これらの図形を識別することが示された。一方で、乳児は統制条件の図形を識別しなかった。実験2では、乳児が主観的透明面の有無に基づいて反応していることを確認するために2種類のKanizsa図形を直接対提示し、乳児がこれらの図形を識別するかどうか検討した。しかしながら、2種類のKanizsaは局所的なコントラスト強度が異なっていた。乳児がこの差異に反応する可能性を検討するため、統制条件では2種類の要素反転図形を対で提示した。実験の結果、乳児は実験条件で透明視図形をより長く注視し、2種類のKanizsa図形を識別した。一方で、乳児は2種類の要素反転図形を識別しなかった。これらの結果から、生後3-6ケ月児が透明視を知覚することが示唆される。いくつかの先行研究も本研究と同様幼い乳児が補完知覚能力を持つことを報告しているが、それらの結果は低次な刺激属性に基づく反応として解釈可能であった。本研究の結果は、そのような低次な刺激属性に基づく解釈を排除しつつ生後3-6ケ月の幼い乳児が補完知覚能力を持つことをはじめて示した点で重要である。
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Research Products
(10 results)