2008 Fiscal Year Annual Research Report
チョウの配偶行動における2つの代替戦略の維持機構の解明
Project/Area Number |
07J06072
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
竹内 剛 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 縄張り / チョウ / 雄性先熟 / 闘争 / 性選択 |
Research Abstract |
1.クロヒカゲの配偶戦略に関する研究 本年度当初は、交尾経験がクロヒカゲ雄の配偶戦略を変化させるのではないかと考えていたが、野外で本種の行動を詳細に観察したところ、Ide(2004)に報告されているような雌探索飛翔と配偶縄張りの混在は確認できず、配偶縄張りのみ確認できた。そこで、本種の縄張り制について調べたところ、第一世代では縄張り保持者の方が非保持者に比べて体サイズが大きかったが、第二世代ではそのような傾向は認められなかった。第二世代は縄張り活動が不活発なので、闘争能力が社会的地位に与える影響が小さいのだろう。また、雄の体サイズは第一世代の方が第二世代よりも大きかった。この現象はチョウではよく知られているが、その適応的意義は未解明である。クロヒカゲの場合、縄張り争いが激しい第一世代では、体サイズを大きくする方向に淘汰がかかると考えられ、今後研究を進めていく予定である。 2.雄の出現日がメスアカミドリシジミの縄張り闘争に与える影響 過去の研究から、本種の縄張り闘争では、争っている縄張りを占有した期間の長い個体が勝ちやすいことが分かっている。このルールだと、成虫シーズンの最初に縄張りに現れた雄がその後の闘争においても優位になると予測し、野外調査を行った結果、予測を支持するデータが得られた。この結果は、雄性先熟という昆虫でよく知られる現象の新たな進化機構を示すものであり、国際行動生態学会議で発表した。また、縄張り闘争の口内変化に関する新知見を得(早い時刻に起こる闘争ほど長い)、Trans.Lepid.Soc.Japanに論文を発表した。
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Research Products
(5 results)