2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06112
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岩見 真吾 Shizuoka University, 創造科学技術院大学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 数理モデル / 非線形解析 / HIV・AIDS / パンデミックインフルエンザ / 自己免疫疾患 / 数値計算 / 数理生物学 / 関数解析学 |
Research Abstract |
本年度は、特に新型インフルエンザによる大流行阻止政策の評価、HIV感染症におけるAIDS発症機構の解明、自己免疫疾患に見られる様々な症状機構の理論的予測に関する成果を挙げた。これらの医学的な現象は通常、複数の要因が複雑に相互作用した結果(非線形現象)として観測されるものである。したがって、観測事実から原因を予測することは実験的にも容易でない。そこで、これらの研究では数理モデルを用いて複雑な現象に隠れた秩序や現象を引き起こす本質的な原因を解明することを目指した。HIVに関する敷地究は京都大学ウイルス研究所の三浦智行准教授との共同研究である。数理モデルの医学的な妥当性を議論し、得られた結果に対してもウイルス学的な視点から吟味することが出来た。現在、三浦らのSHIVの感染実験のデータを用いて、数理モデルをつくり新たな共同研究を始めている。数理モデルによって得られた結果を実験的に検証することにより数学と実験を融合した新たな研究スタイルを確立することを目指している。また、新型インフルエンザのパンデミック阻止の研究は、現在大規模数値計算によるものが主流になっている。しかし、結果がロバスト性に欠けることや異なるパラメータに関して有限回しか実行できないという問題がある。報告者の研究では、シンプルな数理モデルを用い数学的な解析により任意のパラメータに対してロバストな結果を得ることができた。また、感染鳥を虐殺するという政策に対する有効性を検討し直す必要があることを示唆した。さらに、いくつかの数理モデルの解析を通して、非綿形現象を説明する数学的構造の共通点が明確になりつつある。
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Research Products
(11 results)