2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06112
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岩見 真吾 Shizuoka University, 創造科学技術院大学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 数理モデル / 数理解析 / 理論感染症疫学 / 理論免疫学 / 数値計算 / 新型インフルエンザ / HIV / AIDS / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
本年度は、特に新型インフルエンザコントロールのための数学理論確立を目指した研究成果を挙げた。インフルエンザA型のH5N1株からの変異が懸念されていることより、家禽のダイナミクスに注目した。昨年から、続けている家禽・人間の系での解析において新たに重要な結果を得た。新型インフルエンザの毒性によって感染症をコントロールする政策(主に、感染鳥の処分と感染者の隔離)の有効性に違いが出るという事実である。この結果は、従来の感染症封じ込め政策に対して、疑問を投げかける結果となった。また、今年は、家禽におけるワクチン政策の有効性を評価する系も開発した。この系では、ワクチン政策で、もっとも大きな問題になっている、ワクチン耐性種の出現にも触れている。伝染病の流行を抑制するための家禽に対するワクチン政策が、耐性種の出現下では、逆に伝染病の流行を促進しうることを数学的に証明した。このように、申請者の研究によって、新型インフルエンザの毒性が弱毒化したときには十分な注意が必要であることが示唆された。さらに、アジアを中心に日々進化しているH5N1株のモニタリングの重要性が顕著になった。一方、免疫系とウイルスの攻防を記述する系の研究も精力的に進めている。とくに、京都大学ウイルス研究所とのHIV感染症の研究は、動物実験と理論の融合を目指した日本国内で最初の共同研究である。数学理論によって現在まで解き明かされてこなかったAIDS発症機構の解明を目指している。
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Research Products
(12 results)