2007 Fiscal Year Annual Research Report
キメラタンパク質を応用した中枢神経再生のための人工細胞外マトリックスの創製
Project/Area Number |
07J06117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中路 正 Kyoto University, 再生医科学研究所, 特別研究員DC
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Keywords | キメラタンパク質 / 遺伝子工学 / 神経幹細胞 / 人工マトリックス / ケラチン / 上皮細胞増殖因子 / 神経成長因子 / 細胞移植医療 |
Research Abstract |
本年は、ヘテロ2量体形成能をもつケラチンを基本骨格とするマトリックスを合成することとした。このケラチンタンパク質に、ラミニン由来の細胞接着ドメインを導入して、細胞接着性を有するキメラタンパク質を合成することを試みた。合成したケラチンキメラタンパク質を、ヒト毛髪から抽出した天然ケラチンと複合化することでマトリックスを作製した。このケラチンマトリックス上で神経幹細胞の細胞培養試験を行った結果、細胞接着ドメインを導入したケラチンマトリックスでは、導入しなかった揚合に比べて、細胞接着性が有意に優れていた。この結果から、細胞接着ドメインの導入により、ケラチンマトリックスが細胞の足場として機能していることが明らかとなった。 また、細胞機能制御キメラタンパク質の構築を目的として、多機能キメラタンパク質を遺伝子工学的手法により合成した。そのタンパク質は、上皮細胞増殖因子-ヒスチジンタグ-毛様体由来神経成長因子-プロテアーゼ切断ユニットー神経成長因子ブロッキングドメインの5つの部位からなる。この多機能キメラタンパク質を、Niキレートを介して基材表面に固定化し、その表面上で神経幹細胞の培養試験を行った。その結果、培養初期には、上皮細胞増殖因子の効果で神経幹細胞が選択的に増幅することがわかった。さらに、所定期間後に、プロテアーゼ処理によって神経成長因子ブロッキングドメインを脱離させ、毛様体由来神経成長因子ドメインを露出させた。これに伴い、神経幹細胞からグリア細胞への分化の誘導されることがわかった。この結果から、神経幹細胞の増殖と分化を時間的に制御することのできる新規な材料が開発できたと考える。
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